2018年9月6日未明、胆振東部地震が発生しました。震度7を記録した厚真町では、この4月に来日し、ALTとして厚真町の子どもたちに外国語を教えるタナー・カンニングさんにとってもとてもつらく、きびしい状況を強いられることになりました。
しかし、札幌支店スタッフによる安否確認では、札幌に避難する選択肢もあった中、タナ―さんは、水道が復旧し、自宅に戻れるまでの約1か月間、非難所で地域の人々と生活を共にし、必要な時にすぐに学校に戻れるように、そして少しでも子どもたちの手助けになれるようにと、厚真町に残ることを選びました。
時々、支店スタッフが電話でタナ―さんの様子を確認すると、タナ―さんは、「昨晩はいびきが響くエリアから近い段ボールベッドで多少眠れなかったけど、今日はもう少しいい場所を見つけて寝るから大丈夫」「一番うれしかったのは、本州の生徒からキャンディの袋一つ一つに手紙が添えられた包みが届いたこと」「自分は元気で心配ないよ」と、常にポジティブに話していました。その根底には彼の思いやりがあったのかも知れません。
タナ―さんは不安や不満ひとつもらさず、心静かに事態を受け入れて、地域の一員としてともに過ごし、学校での授業が再開されるまで、他の避難所を訪れては子どもたちの様子を見たり、高齢者の方々と触れ合ったりしていました。まだ余震が続く9月26日には、支店スタッフと5名のALTが小学校を訪問すると、少しほっそりしたタナーさんが、「welcome to my school」と笑顔で出迎えてくれました。校庭では、飲料用の水が自衛隊の給水によりまかなわれており、避難所から通学する子どもたちの中には、長引く避難生活からくるストレスのため心身に不調を訴える子どもたちもいると聞きました。そんな大変な状況の中にあっても、少しでも子どもたちに元気になってもらおうと、子どもたちと楽しく英語の授業に取り組むタナーさんの姿がありました。
そして現在もタナ―さんは、地域に根付き、今も変わらず厚真町の子どもたちのためにALTとして取り組んでいます。
(写真:9月26日、ALT5名の学校訪問の様子)