Love the differenceLove the difference

増田純子

MASUDA Junko

2016年入社
名古屋支店 アカウンター

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chapter01
静かな日本の教室

「みんな、どう思う?」
教室で先生が聞いても、誰も手を挙げない。
「私は、違うやり方がいいと思います」
クラスメイトたちが、私のことを白い目で見る。
なんだ、こいつ。やっぱり変なやつだな。黙っとけよ。
そんな視線を浴びながら、立ち向かうように発言してきた。

母親が、日本に来た移民に日本語を教える仕事をしていて、
小さい頃から外国人と触れる機会が多かった。
人それぞれが違って当たり前で、違うからこそ面白い。
そう思って過ごしてきた自分にとっては、日本の教室で当たり前のように流れる空気の方が異様だった。

大学の時にサンフランシスコに留学して、モンテッソーリ教育の現場を学んだ。
「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という考えを前提にした教育で、
とにかく子どもの意志を大切にする。
例えば、5歳の子どもが大人用の大きなハサミを使おうとしたら、
「駄目でしょ」と取り上げる人も多いかもしれない。
そんな時でも「どうして大きなハサミを使いたいと思ったの?」と聞く。
「何で」と聞かれる経験を積むことで、自分の意志を言葉にできる人へと育っていくという。

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chapter02
生意気な新入社員がぶつかった壁

就活でリンク・インタラックに出会った。
当時はリンク・インタラックが初めて新卒採用にとりかかった年で、
リンクアンドモチベーショングループが開催する合同説明会で、
社長自らが呼び込みをしているような時代だった。
「女性をもっと自由に!」と思って化粧品メーカーから内定をもらっていたけれど、
リンク・インタラックが創ろうとしている
「違いを受け入れ、自分の意志を大切にできる社会」に共感し、入社を決めた。
私が教室で感じた閉塞感は、日本という社会全体を覆っていて、
それを変えるためには、やっぱり教室を変えないといけないと思ったから。

入社してすぐ、壁にぶつかった。
日本の教育のここがいけない。
今のリンク・インタラックにはこれが足りない。
思ったことを口に出したら、先輩たちに睨まれた。
当時は、リンクアンドモチベーショングループにグループインして2年目。
正直まだ混乱している時期だった。

そんな中、まだ何の仕事もできない新人が、
生意気に評論家のようなことを言い放つのだから、
先輩たちからしたら、図々しい存在だったと思う。

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chapter03
理解してから理解される

受け入れてもらえないもどかしさに反発した私は、
「だったら全部自分でやってやる」と意地になって、理解し合うことを拒絶した。

新人一人では仕事のパフォーマンスは出せない。
それなのに、わからないことを聞きにいくこともできない。
八方塞がりの状態で、私は名古屋に異動になった。

痛感したのは、私は「違い」を受け入れようとしていなかったということ。
立場が違えば見えるものは違う。
人と人は違って当たり前、違うからこそ面白いと思って生きてきたのに、
何が違うのかを理解しようとすること、その上でわかり合おうとすることができていなかった。
私を理解してほしいと駄々をこねていたけれど、
私が理解することからはじめようと、まっさらな気持ちで名古屋に行った。

日本の教育のここがダメだと主張するのではなく、
目の前にいる学校・教育委員会の人たちは何に困っているのか。
それを解決するために、仲間たちはどんな課題を感じているのか。
ひとりひとりの痛みや苦しみを感じられるようになって初めて、
心から力になりたいと思えるようになった。
私にできることは何か、リンク・インタラックの技術をどうやったら活かせるか。

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chapter04
違うことを尊び、伝わることを楽しむ

私は愛知県教育委員会と一緒に行っている5日間の
宿泊型イングリッシュキャンプの企画と運営の責任者を任された。
参加者や運営者など関係者は総勢100名を超える。
企画の目的、自分が創り上げたひとつひとつのプログラムに込めた思いを関係者に伝えて回った。
参加者の保護者の方たちからは、どんなお子さんなのかという情報を事前に頂く。
そこには、学校で友だちができないことを心配する声や、
何か変化のきっかけを掴んでほしいという切実な想いが書かれている。

緊張の中、イングリッシュキャンプは始まる。
外国人の先生たち、初めて出会う子ども同士。なかなか会話は弾まない。
ALTは英語を教えるわけではなく、意志を表現することをサポートする役割。
英語が正しいか、正しくないかなんて関係ない。
小さな勇気に気付いてあげて、発信自体を讃える。
長い時間がかかる。でも、私たちは決して焦ったり、急かしたりしない。
3日目の夜あたりから、子どもたちが次々と自分から話し始める。
文法や単語を間違うことなんて大したことじゃなくて、
それよりも「伝わる」ことが何よりも楽しいと気付いてくれる。
つたない英語でコミュニケーションを取り合うことで、
学校も、性別も、年齢も、あらゆるバックグラウンドを超えて、
「伝わる」喜びをきっかけにした繋がりが生まれていく。

教育委員会の人たち、保護者の人たち、ALTやインタラックの仲間たち、
違う立場のみんなが子どもたちの楽しむ様子を同じ想いで見守っている時、
私はこの仕事をしていてよかったと心から思う。

私たちはひとりひとり違う。
だからこそ、伝え合い、わかり合えることは、かけがえのないこと。
世界は変えられると信じて、私は仕事をしている。

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